「るっこにやってもらおう......」


自分でするのを諦め、そう言いながら括っていたゴムを外し、がっくりと肩を落とす。


私にはヘアセット出来ないってことが再認識出来た。


るっこは私の中学生の時からの親友で、私とは正反対の女子力満点クール美女。


将来の夢は美容師になりたいらしく、ヘアセットなどの腕は1人前と言える程。


そんな私はと言うと、女子力は皆無。


お父さんの影響で小さい頃から運動しかしてこなかったからか、スポーツしか出来なくなってた。


お母さんが"せっかく女の子に生まれたのに!"と悔しがってたのを覚えてる。


だから唯一の女の子らしさの部分を残すため、髪の毛は切らないって決めてるの。



「はぁ〜....」



あーあ、可愛かったのになぁ、この髪型。


そんなことを思いながらスマホの画面を閉じ、また寝癖直しに取り掛かる。


それから数分が経ち、寝癖直しに必死になっていると、エプロン姿のお母さんが洗面所に顔を出しに来た。


「久遠〜、るっこちゃん来たわよ〜!」

「え!やばっ!!今何時!!」


時計を見ると起きてから30分は経っていて、現在7時半を過ぎている、


時計みてなかった!


るっこ待たせちゃう、急がないと!!


急いで自分の部屋まで駆け上がり、新しい制服に袖を通して、新しいまだ硬いローファーを足で潰しながら履き、玄関を開ける。