倒れていた子が心配で慌ててついてきちゃったけれど、別について行かなくても良かったのかも…。
何もかも計画を立てずに勢いで行動してしまう自分に呆れて苦笑いしてしまった。
倒れていた子のことを大切なものを抱え込むみたいに運んでいる綺麗な顔の男の子。
名前なんて言うんだろうな。
なんて考えていたけど、今はそれどころじゃないはずだ。
倒れていた子を慣れた手つきで運ぶ男の子の頼もしい背中を眺めながらぼんやりと歩いていると、保健室に着いたみたいだった。
ノックもせずに保健室のドアをガラガラっと開けてズカズカと中に入っていく男の子。
私も一礼して中に入っていくと、保健の先生はそこにはいなかった。
チッとひとつ舌打ちをしそのまま奥のベッドに抱き抱えていたその子を寝かしつけると、男の子はやっと私に向かい合ってくれた。
私の顔を睨むように見ているその男の子に私は怯えながらも口を開いた。
「あ、あの…。あなたの名前を聞いてもいいですか?」
そういった途端その男の子の表情は打って変わって優しく微笑んでくれた。
その笑みに失神しそうになる。
なんて威力が強いんだ…。
ドギマギしながらも、もう一度その男の子を見ると初めて目が合った。
「俺は黒咲蒼、Threeの次期総長だ。お前は?」
ん…?そう言い放ったその男の子を私はじぃっと眺める。
た、たしかに今思えばすごくすごくすごくイケメン男子だ。
色白の肌に見られると突き刺さってしまうのでは無いかと思ってしまうほどの鋭い目、薄く形のいい唇に高い鼻。身長は180cmをゆうに超えているだろうその男の正体は、ま、まさかThreeの次期総長だったなんて…!
「…聞いているのか、名前を教えろ。」
Threeの次期総長さんが怪訝な顔をしている。
そうだった、ま、まずは自分の自己紹介をしないと…。
「初めまして、私1年3組の孤爪愛里です!」
まくし立てるようにそう答えた私を次期総長さんはじっと見つめてくる。
こんなに見つめられては顔に穴があきそうになってしまう。
「愛里、ありがとな。おかげでこいつが助かったよ。礼はいずれまたどこかでするから、まずは授業に戻れ。」
親切心で言ってくれているのであろう、次期総長さんに私は素直に「はい!」と返事をし、そそくさと教室に戻って行ったのであった。
授業に戻ろうと教室に足を踏み入れた。
だがガラガラとドアを開けた拍子にみんなが一斉に振り向いてくる。
ひ、人の視線ってこんなに怖かったんだ…。
今まで注目なんてされたこと無かったからすごく怖かった。
「おい。孤爪!お前なんで遅刻したんだ。」
やっぱり…。
案の定先生は遅れてきた私に向かって顔を真っ赤にして怒ってる。
いつも温厚な先生が今はすごく怖いよ。
しかもみんな私を見てヒソヒソと隣近所で話しをている。
「孤爪さん。堀Tの授業中遅れるなんてめっちゃ失礼じゃない?」
「やばいよね。学年1位だからって調子乗ってんじゃないの?」
堀Tとは堀先生の略。
堀先生はすごく若くてハンサムな男の教師で、学校中の女子から絶大な人気を誇っていたのだった。
そんな堀先生の授業に遅れたのだからみんなが怒るのも当然だろう。
そこへ、みんなに陰口を言われてやや俯きがちになっていた私を誰かが呼ぶ声がした。
「愛里!いるか?」
誰が私を呼んだのか訳が分からなくて声のした方を振り向くと、
「え?さっきの…!」
なんとそこにはさっき倒れていた子を運んでいたThreeの次期総長さん、黒咲さんがいたのだ。
「お前。さっきはありがとな。助かった。今日の放課後空いてるか?礼がしたい。」
そう言って黒咲さんをふわりと私に微笑んだ。途端にキャー!!!という黄色い女子の悲鳴が上がる。
あまりの盛り上がり具合に愕然としていると、段々と黒咲さんの顔が曇っていっているのが見てわかる。
こんなに盛り上がられたり騒がれたりするのも大変なんだなーと密かに感じていた。
何もかも計画を立てずに勢いで行動してしまう自分に呆れて苦笑いしてしまった。
倒れていた子のことを大切なものを抱え込むみたいに運んでいる綺麗な顔の男の子。
名前なんて言うんだろうな。
なんて考えていたけど、今はそれどころじゃないはずだ。
倒れていた子を慣れた手つきで運ぶ男の子の頼もしい背中を眺めながらぼんやりと歩いていると、保健室に着いたみたいだった。
ノックもせずに保健室のドアをガラガラっと開けてズカズカと中に入っていく男の子。
私も一礼して中に入っていくと、保健の先生はそこにはいなかった。
チッとひとつ舌打ちをしそのまま奥のベッドに抱き抱えていたその子を寝かしつけると、男の子はやっと私に向かい合ってくれた。
私の顔を睨むように見ているその男の子に私は怯えながらも口を開いた。
「あ、あの…。あなたの名前を聞いてもいいですか?」
そういった途端その男の子の表情は打って変わって優しく微笑んでくれた。
その笑みに失神しそうになる。
なんて威力が強いんだ…。
ドギマギしながらも、もう一度その男の子を見ると初めて目が合った。
「俺は黒咲蒼、Threeの次期総長だ。お前は?」
ん…?そう言い放ったその男の子を私はじぃっと眺める。
た、たしかに今思えばすごくすごくすごくイケメン男子だ。
色白の肌に見られると突き刺さってしまうのでは無いかと思ってしまうほどの鋭い目、薄く形のいい唇に高い鼻。身長は180cmをゆうに超えているだろうその男の正体は、ま、まさかThreeの次期総長だったなんて…!
「…聞いているのか、名前を教えろ。」
Threeの次期総長さんが怪訝な顔をしている。
そうだった、ま、まずは自分の自己紹介をしないと…。
「初めまして、私1年3組の孤爪愛里です!」
まくし立てるようにそう答えた私を次期総長さんはじっと見つめてくる。
こんなに見つめられては顔に穴があきそうになってしまう。
「愛里、ありがとな。おかげでこいつが助かったよ。礼はいずれまたどこかでするから、まずは授業に戻れ。」
親切心で言ってくれているのであろう、次期総長さんに私は素直に「はい!」と返事をし、そそくさと教室に戻って行ったのであった。
授業に戻ろうと教室に足を踏み入れた。
だがガラガラとドアを開けた拍子にみんなが一斉に振り向いてくる。
ひ、人の視線ってこんなに怖かったんだ…。
今まで注目なんてされたこと無かったからすごく怖かった。
「おい。孤爪!お前なんで遅刻したんだ。」
やっぱり…。
案の定先生は遅れてきた私に向かって顔を真っ赤にして怒ってる。
いつも温厚な先生が今はすごく怖いよ。
しかもみんな私を見てヒソヒソと隣近所で話しをている。
「孤爪さん。堀Tの授業中遅れるなんてめっちゃ失礼じゃない?」
「やばいよね。学年1位だからって調子乗ってんじゃないの?」
堀Tとは堀先生の略。
堀先生はすごく若くてハンサムな男の教師で、学校中の女子から絶大な人気を誇っていたのだった。
そんな堀先生の授業に遅れたのだからみんなが怒るのも当然だろう。
そこへ、みんなに陰口を言われてやや俯きがちになっていた私を誰かが呼ぶ声がした。
「愛里!いるか?」
誰が私を呼んだのか訳が分からなくて声のした方を振り向くと、
「え?さっきの…!」
なんとそこにはさっき倒れていた子を運んでいたThreeの次期総長さん、黒咲さんがいたのだ。
「お前。さっきはありがとな。助かった。今日の放課後空いてるか?礼がしたい。」
そう言って黒咲さんをふわりと私に微笑んだ。途端にキャー!!!という黄色い女子の悲鳴が上がる。
あまりの盛り上がり具合に愕然としていると、段々と黒咲さんの顔が曇っていっているのが見てわかる。
こんなに盛り上がられたり騒がれたりするのも大変なんだなーと密かに感じていた。