しかし、それでも義母はまだ諦めていないようだ。

「しかし、私達は馬車に乗っているところを賊の者に襲われたのですよ。私達も襲われたのです。たまたまジュリアは連れ去られてしまいましたけど、それのどこが企みだと言うのですか。」


アレックス様は少し呆れたような声を出した。


「これでもまだしらを切ると言うのか…それではこの者達を見ると良い。」


アレックス様が手を3回打つと、その合図でさらに人が入ってきたようだ。


「そ…その者たちは私達の馬車を襲った賊です。」
「き、きゃーっ、賊ですわ!」


ミシェルの悲鳴と、義母の驚いた声が部屋に響いた。
これは黒ずくめの装束を見に付けた騎士たちが来たのだろう。


アレックス様は厳しい声をあげた。


「そうだ、この者達が馬車を襲ったのだろう。だが、その正体をこれから見せよう。よく見ておけ!」


アレックス様の声を聞いて黒装束を脱いで見せているようだ。
もちろん城の護衛騎士の制服が見えて来たのだろう。


ずっと声を出さなかったお父様が初めて声を出した。


「これは…どういう事なのでしょうか…賊が騎士様達という事は…ジュリアは無事なのですか。」