これで2つの嫌がらせはなんとか回避できたはずだ。
残りは後1つだ。

最後の嫌がらせは確かパーティー終盤の社交ダンスの時に起こったはずだ。
アレックス様にダンスを申し込む女性にジュリアが暴力を振るうという濡れ衣だ。


ただすでに状況は少し変わってきている。
小説ではこの時すでにアレックス様はジュリアに不信感を抱いているのだ。
そのためジュリアをダンスに誘わず他の女性のダンスに応じてしまうのだ。


大広間に音楽が響き渡ると、社交ダンスの時間だ。

周りで皆がダンスを仲睦まじく踊り始める。

すると、アレックス様に憧れる女性たちがアレックス様に近付いて来た。
その中の一人がドレスのスカートの両脇を掴み、膝を曲げ首を傾げてた。
頬はリンゴのように赤くなっている。


「ブラッドフォード王太子様、もしよろしければダンスをご一緒していただけますか?」


アレックス様はその女性たちに向かい微笑んだ。


「申し訳ないが、私は婚約者のジュリア嬢とダンスを踊りたいのだ。気持ちは嬉しいがお誘いは受けられない。」


アレックス様は丁寧に右手を左胸に当てて頭を下げて断ったのだ。
そして、私に近づくと目の前で片膝を着いた。


「ジュリア嬢、私と踊って頂けませんか。」



その姿はアニメや映画などで見る素敵な王子様そのものだった。


アレックス様はダンスもかなり上手でジュリアをリードしながら華麗に踊って見せたのだった。
その姿は会場中から溜息が出るほどだった。


結局アレックス様はジュリア以外の女性とダンスを踊ることは無かった。


これで3つ目の嫌がらせである、私がアレックス様に近付く女性を突き飛ばすなどの、暴力を振るった濡れ衣は回避できたようだ。