そうだ、あの日、あのイブの日、俺は返事を聞かせてと言った那智さんに言ったんだ

「確かに那智さんとは嫌いで別れたわけではなかった。今も嫌いというわけではありません。
でも…
好きでもなかった。
というよりは、誰も好きではなかった。
誰と付き合っても同じだった…

凛と出会って、色んな感情を知って、今は俺にとって特別な、なくてはならない存在です。

だから、那智さん貴女とやり直すことは、考えられません。」

那智さんは、『そっ』とあっさり言ったかと思うと

「意地悪なことしてごめんなさいね。
貴方の本心が知りたくて、貴方を試すような事してしまったわ…

これでも一応母親だから
やっぱり子供には幸せになってもらいたいじゃない。

勿論、やり直したい気持ちが全く無かったわけではないけどね。」

悪戯っぽく笑って見せたが、母親の顔をしている那智さんを責める気にはなれなかった。

そして那智さんは、『凛を宜しくね。』と言い残し部屋を去った…