それにそもそも彼女に好かれているということを知らなかったし、そもそも、その可能性を全く考えていなかった。だって考えてみろ、俺みたいな根暗な奴がクラスのマドンナに好かれてると思うか? 少なくともそんな可能性考えるだけ無駄だ。

 別に俺が彼女に魅力を感じないとかそんなわけが無い。クラスのマドンナに告白されて断る人間なんて変人が彼女持ちしかいない。それに彼女はめちゃくちゃかわいい。美人だ、少なくとも俺となんて釣り合わないぐらいには。

 ただ告白を受ける勇気が無い。それは俺なんかがこの人と付き合える権利? があるのか分からないし、そもそも失礼な話だが、ドッキリの可能性もある。そりゃあそんな人間じゃ無いと信じているが、俺と付き合うメリットなんてそんぐらいしか思いつかない。

 あ、やばいめっちゃ斉木さんが不安そうな顔で見ている。そりゃあそうか、もう一分くらい考え込んでいるんだもん。さてとそろそろ答えを出すしかないか。
 この不安そうな顔、ドッキリが失敗するのが怖いのかもしれない、ただ俺は彼女を信じたい。

「はい。お願いします」
「え? それって」
「付き合いましょう」
「やったー! みんな出てきて。成功したよ」
「え?」

 ちょっと待て、やっぱりドッキリでしたパターン? やめてほしいんだけど。