「はあ」

 今日も長い一日が終わった。やはり学校は疲れる。しんどい勉強に人付き合い、しんどいことばっかりだ。

「帰ろ」

 小声で言った。他人には聞こえていないだろう。その方がいい。情けない言葉だからな。

「ちょっといいですか?」

 教室の外に出る直前に声をかけられた。クラスのマドンナである斉木未来さんだ。俺に何の用だろう。

「好きです」
「え?」

 聞き間違いか? 

「だから好きです」

 と、言われた。いや……

「俺を?」

 冗談だろ?

「そうに決まってるじゃないですか」
「いやいやおかしいだろ。なんで俺なんだ?」
「前々から好きだったんですよ。その立ち振る舞いとか」
「いやそうだとしても。結構告白を断ってたんじゃなかったのか?」

 彼女は実際に高嶺の花として有名なのだ。そんな彼女なのに。

「あれは、私に合わないと思ったから断っただけです。貴方は私に合うと思ったから告白したんです。それに貴方の事が好きですし……」
「……」

 俺にはこれになんと返したら良いのか全く分からない。少なくとも女性経験のない俺には……