「あなたなんて嫌いです!」

 そう、友達の彩花が家に来てそう言った。
 俺の頭はすぐにその状況を理解しようとはしなかった。
 なぜわざわざ家に来て絶縁を叩きつけるのか。
 俺は何の言葉も返すことができなかった。そのせいで無言の時間ができてしまった。

 彼女も気まずそうな顔をしている。この状況どうしたらいいんだ。

 彩花とは一昨日カラオケで一日中熱唱していた。もしかして一昨日何か彩花に対して失礼な行動をしたのだろうか。そう考えると、冷や汗が頬を伝う、
 どうすれば彩花との仲を取り戻せるだろうか、どうすれば一昨日までの関係に戻れるのだろうか。
 もはや何もかも分からなくなった。

「そうか……」とだけ言い残して、部屋へと駆け出していった。部屋に引きこもるために。