少し高い柵に座ると心地よい風が頬を撫でた


はぁ、



白い息を追って空を見上げると月はなく、吸い込まれそうなほど綺麗な星が輝く夜空が見える



もう決めたんだ


前に倒れて広い空気へと飛び込んだ


パシッ


っ、


だれだ


「…なん、ですか?」


「…」


なんか言えよ


「死ぬのか」



「え、?」


「死ぬのかと聞いている」





真っ直ぐな黒い目が僕の目を捉えて離さない

胸あたりまである真っ黒の髪がふわふわと猫っ毛のように跳ねている

肌は白く透き通り消えてしまいそうなくらい細くて儚げな身体であり体幹には筋肉もついているように見える



綺麗、だと思った





「あ、まぁ」


「そうか、じゃあその命は私が貰う」



「は?」


「聞こえないのか、お前耳が悪いのか?」




綺麗な身体からは想像もつかない口調

なんか腹立つ



「悪くないですけど」


「はぁ?じゃあ返事をして」



「はい」


「よし、分かった。じゃあ行こう」




何がわかったんだよ


今の返事は返事をしろって言われたからでまだ意味わかんないんだからな




「誘か」
「誘拐では無い。お前ははいと言った。合意の上でだ」



「はぁ」