お互いに譲らない言い合いをして、でも結局笑い合う2人の光景をただただ見つめる。


仲、いいんだな…。


幼なじみ、だもんな。


俺の知らない時間の春乃を知っている。


ーモヤッ


……またかよ。


いくら嫉妬しても、いくら羨ましがっても、時間なんて変えられない。


過去の事実は変わらない。


俺、嫉妬深っ。


「あ、私着替えてこないと!」


そうこう頭の中で色んな負の感情に振り回された俺を置いていくかのように、


春乃は帰る支度を始め、俺が帰る準備をする時にはもう帰ろうとしていた。


「先輩、さようなら…!また明日の部活で…!」


「…あぁ、またな」


独占したい。


俺の腕の中に閉じ込めたい。


俺のそばにいてほしい。


そんな自分勝手な欲望を表に出さないように、必死に春乃の会釈に微笑み返した。