「春乃」


「あ、先輩…!どうしたんですか!」


これはまだ俺が、春乃が俺を好いてくれる本当の理由を知らない時のこと。


「水、今日もくれ」


「あ、はい…!準備満タンですよ!はい、どうぞ」


「ふっ、サンキュ」


まだ俺も春乃も新しい学年に成り立てで、バスケ部のキャプテンとなった俺も、慣れない環境での新しい生活を送る春乃も、


お互いの仲もそんなに深く縮まっていない時。


「10分経ったら、また再開するから今日のメニューしっかり目通しとけよ」


「「はい!!」」


バスケ部のメンバー約20人に今後のメニューを通すよう促し、10分休憩が終わった頃、再び部活を再開した。



そして部活が終わった夕方5時半。


「あ、桜子…!」


「!あおくん!」


春乃の迎えなのか、部活終わりである“あおくん”がバスケ部の方へやってきた。


春乃の幼なじみの1人である桐谷蒼(きりたにあおい)。通称“あおくん”。


「あ、先輩、部活お疲れ様です…!」


「…あーお疲れ」


入学して早々サッカー部のレギュラーに選ばれたこいつを俺はこの時気に食わなかった。


それだけじゃない。