桐生、先輩…


『春乃、水』


『え?あ、はい…!』


『まーた桐生春乃ちゃんから水貰ってるよ』


『まぁ、桐生は春ちゃんのこと…むぐっ、は、離せ!』


『無駄口喋る暇あるんなら、せめて次やることくらい頭に入れたら?』


『むむむっ、離せ〜!!』


部活では、なぜかいつも水分補給の時先輩から指名されて。


最初はびっくりしたけど、それが嬉しかったりして。


『春乃』


『あ、青木先輩…!どうしたんですか??』


『…その、わかんないことあったりとか困ったことあったら、俺に聞くんだぞ』


『え、あ、はい!ありがとうございます!』


委員会では、私に困ることがあるかもって心配して声かけてくれて。


それがきっかけで先輩といる時間が少しずつ長くなって、恋するのもそう遅くはなかった。


先輩……


「会いたい…」


先輩……会えなくても、私の“大好き”は変わらないから、待っててください。


必ず明後日、また会いに行きます。


だから───私のこと、もう冷たくしないで。


机にうつ伏せになり、うっすらと涙が溢れたことを私は芙希ちゃんに言わないで、休み時間を終えた。