校内新聞の丸々1ページを使って、新聞部は宗介と恋の復縁を報道していた。








 放課後。


「恋!」


 宗介が恋の席にやって来て声をかけた。



「今日はファーストフード寄ってくぞ。話したいこと沢山ある。」

「うん」

「新田さん」



 恋の後ろから、䄭風が声をかけた。



「新田さん、僕も行っていいでしょ?」

「!」

「はあ?。何で樋山が来るんだよ。」

「上野には新田さんの独占権はない。新田さんには、僕がちゃんと付いてないと。」

「ふざけんなよ。僕達は付き合ってるんだ。樋山、お前は部外者なんだから一緒に行動しようとすんなよね。」

「なんと言われようと僕も行く。上野ばっかにいいとこ取りさせない。新田さん、良いでしょ?。」

「はあ?うざ。浮気相手なんか要らねーんだよ。こら、なんとか言えよ、恋。」

「……。」



 困り顔の恋。

 と、そこへ、ガラガラと戸を開けて教室に理央が入って来た。


「あれっ上野くんに樋山くんに恋。まだ残ってたの?」


 読みかけの小説を自分の机から取りながら理央が言った。



「駒井、どうにかしてくんない、こいつ。」

「樋山くんがどうかした?」

「僕達のデートに付いてこようとして、邪魔でたまんない。なんとか言ってくんない。」

「ああ。」



 理央は笑いながら言った。


「もし樋山くんが恋を諦めたら、それはそれで違和感あるもんね。3人っていつもそういう感じだし。」


 理央がくすくす笑った。


「誰が欠けても、この三角形のバランスは成り立たない。記念碑的三角関係。亅


 教室には、恋たちの他居なくて、静かだった。
 開いた窓から良い風が入って来る。
 もう少し経ったら、この話も思い出になってしまうのか?学校にはいつもノスタルジアがある。

 
 理央が手に持っていた本をぱたんと閉じた。


「世界が終わる時も、この3人は絶対一緒に居るって、私保証するよ。」


 教室の窓から覗く青い空が、この世界がまだまだ終わらないことを、美しく謳っている。


「こら恋!」

「新田さん」