「時に新田さん」


 伊鞠が言った。



「あなたどのゲームが好き?」

「私は……」



 クレーンゲームかな、と恋は言った。



「何か取ってあげましょうか。サービスに。」

「……伊鞠器用」

「取らなくていいんで。」



 宗介がきっぱり言って、伊鞠達を睨んだ。



「僕達もう帰りますんで、これ以上僕達を追い回さないでください。」

「あら……」



 伊鞠は考えるような顔をしていたが、ふいにひらめいたように言った。


「じゃあ、こういうのはどう?」


 伊鞠が言った。



「ここにあるゲームで勝負して、あなたが勝ったら追い回すのを辞める。私が勝ったら続けるわ。」

「はあ?」

「私が勝ったらあなた達は新聞部のメインを今年1年務める。写真も売る。そういう約束でどう?」



 宗介はぽかんとした顔をしていたが、やがて怒り笑いで言った。



「なんでわざわざそんな勝負しなきゃならないんだ。納得いかない。」

「大体、僕達の肖像権ですよ。」



 䄭風が言うと、伊鞠が叫んだ。



「不戦勝!」

「!」

「やらないなら降参と見なして、あなた達の負けよ。さあ、どうする?」



 恋達を見下ろして、伊鞠が笑った。