「帰るぞ」 立ちつくしたままの私に、栗山くんが言う。 「……あ、うん」 帰る方向だって同じだし、家なんて数軒隣なだけだから、一緒に帰る流れにはなるのだろう。 前まではこの時間がものすごく気まずく感じたけど、最近はそうでもない。 「来週から夏休みだね」 「ああ」 「……栗山くんは、どこかいったりするの?」 「…別に。お前は?」 「私も、今のところはどこにも」 「…そ」 「うん」 「……」