「なんか最近図書館来なくなったけど、忙しい?」


「え、あ…まぁ」


私は苦笑いを返す。
忙しいなんていうのは嘘だ。
私が、勝手に行きにくくて行ってないだけ。


「そっか……またいつでも来てね。じゃあ、僕は図書館に戻るよ」


「……はい」


カバンを握っていた手に、ぎゅっと力を込める。
大丈夫、今まで通りに、普通にすればいいんだ。


はぁ…とため息をついて、私は歩き出す。


「……あ」


昇降口の角を曲がると、栗山くんに出くわした。
ちょうど帰るところだったのか、ローファーを片手に持っている。


「………まだ帰ってなかったのか」


「…あ、うん。夢ちゃんと話してたら時間経っちゃって…」