夢ちゃんはお化粧がすごく上手だ。


学校にも大きめの化粧ポーチを持って来ているけど、家にはもっと沢山あるらしい。


私は化粧品なんてひとつも持ってないし、したこともない。
せめて日焼け止めを塗るくらい。


「あ、そうだ花、駅前のカフェで期間限定のパフェ出たらしいんだけど、今日食べに行かない?」



何かをスマホで見ていた夢ちゃんが、画面をこちらに向けた。
可愛らしいパフェの写真だ。
ぜひ行きたいお誘いだけど、あいにく今日は外せない用事がある。


「ごめん今日お母さんいないから弟迎えに行かなきゃいけなくて」


「お母さん今日仕事?」


「いや、それが…」


実は遠くに住むおばあちゃんが腰を痛めて緊急で入院することになっちゃって、一人暮らしだし病院に荷物を届けたり手続きをしにお母さんが行かなきゃ行けなくなった。


『多分帰りは夜遅くなっちゃうと思うから、晴翔の迎えと夕飯、お願いしてもいい?』と頼まれている。