学校にいる時は、栗山くんの顔色を伺って言い返すことなんてできなかったけど、今はそんなのどうでもいい。


「関係なくねーよ。俺はお前のこと心配してやって…」


ああもう、うるさいな…
あっち行ってよ…


栗山くんが何か言ったけど、そんなの聞いてる余裕もない。


「おい聞いてんのか?…ったく、こんな時にも読書かよ。そんなに本ばっか読んでるからメガネザルになんだよ」


ずっと本に目を落としたまま、何も言わない私に栗山くんはしびれを切らしたのか、私の手元から本を取り上げた。


「な、何するの!返してよ!」


「お前が俺の話聞かないからだろ。ほら、返して欲しけりゃジャンプしろよ」


必死に取り返そうとする私に、栗山くんは本を高く掲げた。