と、こちらの都合にはお構いなしに、なぜか栗山くんは隣の席に座った。 「お前、バカだから数学わかんないだろ。おしえやるから教科書かせ。あと36点の答案も」 「え、でも栗山くんは…」 「別に、俺は勉強をしに来たわけじゃない」 よく見れば、荷物も何もない手ぶらだ。 一体何をしに来たんだ、この人は…… 「じゃあなんで」 「いいから早くしろ」 ほら、と促すように、無表情のまま顎でプリントを指す。