「いらっしゃ………
って、今日もアナタですよね」


「私以外にいるの?
あ、今日も今日とて寂しい店ね」


「別に無理して言わんでええですよ、それ。
で、いつものですか?」


「それこそよ。
そんなお決まりのセリフ言わずとも、
出してくれていいのに」


「気が変わってるかもしれへんのでね。
人の心は移ろうもんですよ」


「酷いわね」


「いやぁ、俺なんてまだまだ。
アナタの足元にも」


「私、そんな無慈悲な人間にうつってるの?」


「……まだ根に持ってますよ、俺。
あの日サービスで出した"スクリュー・ドライバー"、
一回も口つけてくれんかったの」


「それは仕方ないわ。
その時は好みじゃないと思ってたのよ」


「『思ってた』?」


「人の心は移ろうもの、よね」


「……じゃあ
もっかい出したら、どうなります?」


「さあ、どうでしょう」


「……つかめんなぁ」