「爺は……この商店街のようになれば、アタシもいずれ立派になれると?」


反抗的なことばかりを言っていた結が、爺に同調する言葉を告げ、爺の表情が柔らかくなった。


「えぇ、その通りです。ですから結様。ため息をつかずに、これからのことをーー」


爺の言葉の途中でガチャっとドアを開けて、ひょいっと車から出た。


信号もちょうど、青になった。


「ちょっ! 結様!」


「爺、アタシはちょっと勉強してくるわね。これから経済について先生のところへ行く予定だったけど、キャンセルで。座学より、実際に見て学ぶ方が勉強になるもの」


戸惑っている爺に早口でテキトーな理由を並べた後「それじゃあ、ごきげんよう!」と言い勢いよくドアを閉めた。


結が勝手に出たことで車を発進させられずにいると、後続車からクラクションを鳴らされ、爺は車を走らせた。