「パパは、会社のことばっかり。ママなんて、海外へ遊びに行くばっかりで帰ってこないじゃない。2人とも、期待してないよ」


「そんなことは……」


「アタシももう子どもじゃないから、分かってるの」


爺の言葉を遮ると、車内で沈黙が続いた。


信号で止まると、ふと人混みが盛んになっている場所が気になった。


「爺。この人混みはなに?」


ルームミラー越しに結の視線の先を確認すると、「ひだまり商店街ですよ」と答えた。


「商店街……すごいわね。商店街で、こんなに栄えてるなんて」


「そうですね。経営者の高齢化や人口の減少で廃れていく商店街は多いですが、ここは努力がすごいのでしょう。結様も、この商店街のようにすればいずれは素晴らしい経営者になれます。若い今の時間を使うだけで、将来は安泰ですよ」


何でも説教じみたことに繋がる爺にむすっとしたが、少し閃いた。