「あなたはあちらを! あなたはそちらで結様を探してください! まったく、どこに行かれたのやら……」
爺の困った声を聞き、しめしめと芝を這いながら逃げ道へ急いだ。
これだけ広い土地。
1人を探すのにも、使用人数人とたくさんの時間が必要になる。
見える場所はしっかりと手入れされていても、全て行き届いているわけではない。
実は、裏庭の一部がフェンスになっており、荒い網目で外を見ることができる。
そして、そのフェンスは下の部分が壊れておりこっそりと抜け出せるのだ。
「さーてと! 今日も行こう!」
フェンスをくぐって外は出ると、伸びをして喫茶ことりの方に向かって足を早めた。