♡♡♡
3ヶ月後。
「結様ァ! どこにいかれたのですかぁ!」
高級一等地と呼ばれる住宅街に並ぶ家の中で、1番と言える広大な敷地を構えた白鳥邸。
閑静な住宅街に、爺の大声が響いた。
(どこに行ったと聞かれて素直に答えるわけないじゃん)
手入れされた庭の草陰に隠れ、慌てている爺の姿を見てクスクスと笑う結。
これは、白鳥邸で名物になりかけている鬼ごっこである。
次期当主として勉強をさせたい爺vs想い人がいる喫茶店へ行きたい結。
逃げ切れば、このまま喫茶店へ向かい、負ければ勉強。
おまけに、手間をかけさせたとして勉強量はいつもの倍になる。
絶対に負けられない戦いなのだ。