「えっ、桜宮!? 桜宮って、あの桁違いの金持ちが通う……あの桜宮!?」


小鳥遊は、目をキラキラと輝かせながら言った。


どうやら、結が桜宮学園の生徒ということに気付いていなかったのだ。


「肯定し難いですけれど……一応、桜宮学園の生徒です」


「お前マジか。制服なのに気付いてなかったのか」


また、潤がハァと大きなため息をついた。


「だって、僕は桜宮に通っていたわけじゃないし……ねね、やっぱりあそこってすごいの? 外からは見たことあるけど、すごく広いよね! 迷っちゃいそう!」


小鳥遊の新鮮な反応に、結は目を丸くした。


そして、初めて自分のことを大企業の令嬢や金持ち学校に通っている生徒として特別な扱いでなく、気さくにしてくれる小鳥遊への気持ちが募った。