「い、いえ……そんなことは」
桜宮学園は、桁違いの金持ちが通う学校と言われているだけあって、あまり良い印象を持たれることがない。
潤のように露骨に嫌な顔をするか、媚びを売るマネをするかのどちらかだ。
金持ちと繋がれば、メリットになる人脈と捉える者もいる。
結は、波風立てないように上辺だけ笑うことしかできなかった。
(アタシ、何を思い上がっていたんだろ。この人の反応が普通、だよね。小鳥遊さん、良い人だと思ったけど、お店の店長さんだもの。店に利益があると思って、良くしてくれたんだわーー)
ときめいたが、一気に現実へ引き摺り下ろされた気持ちになった。
しかし、小鳥遊はそんな不純な気持ちは1つもなかった。