クリーム色を基調とし、高級ブランド会社がデザインした制服は、人の目を惹くものであった。
結は、周囲の視線に気を取られることなく商店街に入ってすぐの脇道へ入った。
結の目的地は、商店街ではない。
人混みから抜けた先にの人通りが少ない裏道にあるレトロな店。
【喫茶ことり】である。
重厚感のある木造の扉を開ければ、カランコロンと鈴が鳴り客が来たことを示す。
「いらっしゃい、結ちゃん」
中は、カウンター席が5つとテーブル席が2グループ分あるこじんまりとしたもの。
カウンター越しにいる店主、小鳥遊 肇(たかなし はじめ)がグラスを拭いていた手を止めると、結を見てにこっと笑った。
名前で呼ばれるのは、結がここの常連だからだ。