「美味しい……。このプリン、すっごく美味しいです!」
「お口に合ったようで良かった。このメニューはね、親の代からあるメニューなんだけど、僕はいまいち上手に作れなくて。メニューから外していたんだ」
初対面の相手に、プリンが気に入ってもらえたことが分かると笑顔になり饒舌に話し始めた。
「そうなんですね。親の代、ってことはこのお店継がれたんですか?」
「まぁね。この店は祖父の代からやってて。小さい頃からずっと大好きで、継ぎたいとは思っていたけどまさかこんなに早く継ぐことになるとは思わなかったよ」
「こんなに早くって?」
「僕、まだ20歳だからね。大学を出て、ある程度社会人としての経験を積んだからだと思ってたんだよ」
自分と同じ境遇であることに少し驚いた。
だが、楽しそうに親の仕事を継いでいるところは羨ましく思えた。