「キミを匿ってあげた代わりといってはなんだけど、今度は僕の言うことを聞いてもらっても良い?」
「え……?」
「難しいことじゃないよ。さ、カウンター席に座って」
こてんと小首を傾げた結に、男が目の前の席を指した。
男に言われた通り、カウンターから出て目の前の席のそばへ立つと「どうぞ」と座るよう促された。
椅子を引き、腰掛けた。
「キミ、甘いものは好き?」
「え、えぇ。好きです」
「それじゃあ、ちょっと待ってね」
そう言うと、男は湯を沸かし始めた。
「そういえば、キミの名前は?」
「え……白鳥 結です」
「結ちゃんか。可愛らしい名前だね」
異性から可愛いと言われたのは初めてで、ドキッと胸が高鳴った。