「一本別の道に入っただけで、こんなに静かなんだ……」


賑やかな商店街と対照的な雰囲気に驚いた。


「結様ーっ!」


しかし、爺の声がどんどん近付いていることで、浸っている時間がないことを自覚させられた。


「どこか……どこかに逃げないと……!」


キョロキョロとあたりを見渡すが、隠れられそうな場所はない。


人もいないから隠れようが無いのだ。


奥へ進むに連れ、昼間にも関わらず光が差し込まないことで辺りが暗くなった。


壁伝えにまっすぐ歩いていたつもりだが、結の体が左に傾いた。


「ぎゃっ!」


色気のない声が出て、結の体が床に叩きつけられた。


そして、すぐカランコロンと鈴の音が鳴った。