「結様ァー! 結様っ! どこにいるのですか!?」


ぼんやりと理想を考えていると、どこかに車を停めた爺が走ってやって来た。


「ゲッ……! まだ全然遊んでないのにっ……!」


せっかく抜け出したのに、今捕まったらこんこんと説教されるのは目に見えている。


キョロキョロと辺りを見渡すと、混雑している割に人がいなさそうな薄暗い脇道を見つけた。


一目散にそこへ駆け出した。


「どうせ怒られるならっ……とことん遊んでからよっ!」


膝より長いワンピースタイプの制服でも、走れる。


お淑やかな印象を持たれる制服が、激しく揺れる。


結は、足の速さには自信がある。


時折振り返りながら脇道を抜けると、辺りには人気がない場所だった。