「…あ、鐘ヶ丘くん」

「…?あ、…黒羽、さん?」



あ、私の名前知ってたんだ。



このイケメン、鐘ヶ丘雪くんは学校で超超超有名で人気な人で、学校の王子さま的存在だ。

だけど、鐘ヶ丘くん本人は女子に超冷たく、今まで振った女の子の数は1000を超えてるっていう噂もある。


というか、私自身鐘ヶ丘くんと喋るのは初めてで、二人の間には気まずい沈黙が流れていた。


「…家この辺なの?」

先に気まずい沈黙を破ったのは鐘ヶ丘くんの方だった。

イメージだったらもう私の横を通り過ぎてそうなのに。

意外と喋りかけてくれるんだ…


「あ…うん、まあ…ソウダヨ…」

あ、やばい。めっちゃ陰キャっぽい喋り方になってしまった。

こんな時に人見知りモードに入ってしまうなんて…

「もう9時近いけど…なんで制服なの?」

「あ…」

自分の体を見つめる。

たしかに私の服装は学校の制服そのまんまで。

それに比べて鐘ヶ丘くんは部屋着のようなラフなパーカーとスウェットだった。


「実は…」