朧さんが気遣ってお茶の差し入れをしてくれた。一口飲みホッと息をこぼすと隣に立っていた朧さんがはぁ、っもため息をついていたのが聞こえてきた。


「お客様の前なのにすいません」

「いえ。あの、充さんは一体なにをなさっているんですか?」

「俺にもさっぱり分かりません。だけど意味の無いことをしないのが店主のいい所なので、そこは信用してください」

「ふふっ。いつも隣にいる朧さんが言うのなら間違いないですね」


お二人はいつも訪れるお客様に最高の和菓子を届けるために切磋琢磨しながら頑張っている。互いを信頼し合う姿はとても輝いている。

屋敷で嫌なことがあってもここに来れば、いつも間にか忘れて心が軽くなっている。