向かう先は行きつけの和菓子屋さん。叔父の仕事は経営で、取り引き先の中に老舗の和菓子屋がある。

老舗の和菓子屋さんには子供がいて、そのうちの一人である息子さんが自分で店を建てて経営している。

いつも菓子を買うのはその息子さんが作るもの。叔母夫婦も気に入っていて仕事も順調に進んでいると話していた。

本店とはまた違う味だけど、私もその和菓子がお気に入り。

川沿いを進み、大きな桜の木が見えてきた。その傍にある建物こそ行きつけの和菓子屋、“おぼろづき”


「こんにちは」

「いらっしゃいませ」


笑顔で出迎えてくれたのがこのお店の店主である、(みつる)さん。奥には一緒に経営している(おぼろ)さんの姿もあった。


「桜餅をお願いします」

「桜餅ですね。そちらに座ってお待ちください」


店の前に置かれた横長の椅子に座り満開に咲いた桜を見ながら桜餅が包み終わるのをゆっくりと待つ。