女学校に行く以外あまり外に出れない。叔母の言いつけで家事をしなければいけないからだ。

“住まわせてあげてる上に、女学校まで通わせてあげているんだからこれくらい当然でしょ?”

叔母の口癖。言っていることは正しい。両親を亡くしてからずっとこの家で何不自由なく過ごせているのは叔母夫婦のおかげだ。

学校を卒業するまであと少し。それまでの辛抱だ。卒業したらこの家を出れる。自由な生活が待っている。


「では、行ってまいります」

「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」


幼い頃から私のお世話をしてくれているお手伝いさんに挨拶をしてから屋敷を出た。

お手伝いさんは私の中で唯一、信用出来る存在。優しくてたくましい、私の憧れ。

いつかあんな風に生きられたら、どれほど幸せか…。