両親を亡くし、伯母夫婦の養子として引き取られた幼い私はやっと心を落ち着かせられると思っていた。

だけどその生活は歳を重ねるごとに厳しさを増していき、伯母夫婦から見放されるようになった。

衣食住を与えてもらっている身であるため逆らうことは許されず、機嫌を損ねないために顔色を伺う日々を過ごしている。

この家には歳の近い義兄弟がいる。伯母の長女と長男。どちらも優れた才能を持っていてこの家の誇りだと言われている。

女学校の成績に関しては私も二人と同じくらいなのに、褒められたことがない。むしろ出来て当たり前だと。

育ててやったのだからそれくらい出来ないでどうする。出来なければ名家である家の恥だと耳にタコができるくらい言われ続けてきた。