「っ、悪い、ほらあの、舐めたら治るっていうから」

「ふふ、それは自分で舐めとけばって意味ですよ」

 しどろもどろになりながら言い訳をするイーヴを見て、シェイラは小さくふきだした。どうやら、嫌がってはいないことを確認して内心でほっとため息をつく。照れているのか彼女の頬は赤く染まっているけれど、きっとイーヴだって同じくらい真っ赤だ。

「でも、おかげで治ったかも」

 とんでもないことをしでかしたはずなのに、シェイラは指を確認してありがとうと笑う。シェイラを守りたいとイーヴは思っているけれど、本当はイーヴの方が彼女の優しさに守られているのかもしれない。

「というわけで、食堂へ行きましょう。イーヴの大好きなお肉料理も、たくさん作ったんだから」

「うん、楽しみだ」

「愛情たっぷり込めたから、きっと美味しいはずです!……味つけは、アルバンさんだけど」

 照れたように笑いながら、シェイラがイーヴを見上げる。その笑顔に引き寄せられるように頭を撫でると、彼女は嬉しそうに目を細めた。