「ドレージアは本当に綺麗なところですね」

「シェイラが気に入ってくれたなら、俺も嬉しい」

 小さく笑ったようなその声には抑えきれない喜びの色が隠れていて、イーヴが自分の住む国に誇りを持っていることがよく分かる。

 これからはドレージアが自分の居場所だと思っていいのかなと考えながら、シェイラはそっとイーヴのたてがみに顔を埋めた。少し硬いその感触は、人の姿となった時の彼の髪とよく似ている気がする。

「俺のお気に入りの場所に連れて行ってやろう。そこも、すごく綺麗な所なんだ。少し距離があるから、しっかり掴まってろよ」

 そう言って、イーヴがぐんとスピードを上げた。強い風に髪がなぶられて、シェイラは慌てて外套のフードをかぶる。