空を見上げたまま、マリエルが手に持った長い杖を数回地面に打ちつけた。竜の鱗を模した青い飾りが揺れて、しゃらん、と透き通った音が響く。

 祈りを込めるようにマリエルが杖を高く掲げると、杖自体が青く輝き始めた。青く光る杖を持ちながら、マリエルはくるくると舞い踊る。それは、竜を呼ぶための特別な舞。

 マリエルの動きに反応するように杖は輝きを増し、その光はまっすぐに空の上へと向かっていった。

 光の行方を追うように顔を上げると、真っ青な空にやがて小さな黒い点が見えた。