太陽の翳る年に生まれた双子の片方には、聖なる力が宿る。竜に祈りを捧げることで結界を創り出すことができ、聖女と呼ばれる。もう片方は、代わりにその身を竜に捧げて生贄となる定めだ。

 双子の運命は、生まれたその日から決まっている。

 妹のマリエルは、透き通った青い鱗を握りしめて生まれてきた。それは彼女が竜族に認められ、聖女の力を持つという証。

 実際マリエルは聖女として日々祈りを捧げ、結界に力を注ぎ、この国を守っている。 

 だけど、シェイラは何も持って生まれてこなかった。

 同じ顔をしているのに、同じ日に生まれた姉妹なのに、二人は全く違う。

 聖女の代わりに、同じ顔をした娘が生贄となる。

 きっとそれが、シェイラの存在意義。