連れられるがまま走って来たここは…
服飾科の教室?

ミシンとか布とか置いてある、普通科とは勝手が違い過ぎてわかんないけど真っ白なテーブルがいくつか置いてあって作業しやすそうにスペースが取られてる。その前のイスに座らされた。

今から何が始まるの?

「ナノ、お前には再来月の文化祭ファッションショーで俺の服を着てランウェイを歩いてもらう」

いきなりお前って。そこ気になっちゃった。
目の前で足組んでめっちゃ偉そうにしてるんだもん。

で、なんて言った?
来月の文化祭ファッションショーで俺の服を着て…

「ランウェイを歩く!?」

声が裏返るかと思った。

さすがにランウェイくらいは知ってる。
モデルさんがおしゃれな服着て観客席の真ん中を歩くあれでしょ?カッコいい決めポーズとかして観客を沸かせるあれ…を私がやるの!?

「学祭ファッションショーは服飾科では1番のメインイベントだ。参加は2年全員、学校の行事に過ぎないが将来のためには入賞しておくに越したことはない」

去年の学祭ファッションショーは観客として見てた。普通科は参加はできないけど見るのは自由で。

「それでそのランウェイを歩くモデルを、ナノ」

切れ長の目が私を捉えた。

「お前に頼みたい」