ステージに立てばワァと歓声が上がる。

キリッと目に力を入れて、一歩踏み出した。

腰を動かさないように、重心を前に前に送り出すように前を見て歩く。指先まで神経を張り巡らせて、力入れないけど意識は忘れない。

踏み込んだ膝の裏がまっすぐ伸びるように、美しい形をイメージしてー… 


―キャァァァー…!

「!」


声が聞こえる、反響した声は私の耳にも響いて…来るけど今はそれが気持ちよく感じる。

不思議、目立ちたくないって思ってたのにこの声援が気持ちよくて仕方ない。

声が響けば響くほど、私の中に取り込まれて魅せたくなるの。


私を見て。


私に注目して。


私だけをー… 


全然怖くない、爽快で最高の気分だよ。

だってみんなが見てるのは私じゃない。


このドレスだもん、一成の作ったドレス…


魅せてあげる。私のランウェイで。