「ヘアセットとメイクは頼んであるから楽屋に戻ったらすぐ取り掛かれ、あとはドレス!1人じゃ着られないと思うからそれも頼んであってー…」

さすがにヘアセットとかメイクは一成がやるわけじゃないんだ、服作る人だもんねそれはまた別の職種だもんね。
そろそろ時間も迫って来てる、早く準備に戻らないと!

「じゃあ俺は行って来るから」

「え、どこに?ファッションショー見てくれないの?」

パッと手を離された。

てっきりずっとそばで見てくれるのかと思ってたから、舞台の袖とかで…違うの?できたら見ててほしいんだけど…

「見るよ、ナノのステージは。でもその前に」

ドアの方に歩き出していた一成がくるっと振り返って指を差した。ピンッとキレイに伸ばした人差し指を私に向ける。

「見せてやるよ、お手本ってやつを」

…人を指差しちゃいけないって習わなかった?よくないから、そーゆうの。

で、お手本って?何のお手本を見せてくれるの?

「俺のステージよく見てろよ!」

「俺のステージ…?」

って、何を見ろって…一成のステージって…

「俺はファッションデザイナー兼モデルなんだよ」

え?
ファッションデザイナー兼モデル…?

はぁぁぁぁーーーーっ!!?