「ううん…、ごめんなさい。でも諦めないよ、諦めてはない…」

涙を拭いた、もうこぼれないようにきゅっと引き締めて。

「ちょっと不安になっただけだから、もう言わない」

深呼吸をする、もう震えてないからちゃんと上を向ける一成が握ってくれた手を握り返した。

「ありがとう、私を選んでくれて」

重なった手が握手に変わる。

前を見て上を向いて、瞳に力を入れて真っ直ぐ見つめる。

ドキドキしてた一成の体温に、ドキドキしてた一成のドレスに。


こんなドキドキ、絶対に諦めたくない。


「いい目だな、やっぱ」

くすって笑うから、私も笑って返して。

「俺はナノが1番可愛いと思ってる」

面と向かって言われたから、それにはさすがに照れちゃって頬が赤くなった。

「それも今日いるモデルの中でじゃない、世界で1番だ」

そんなに見つめられたら…
照れるし恥ずかしい、そんなこと言われるのは慣れてないからドキッて心臓が疼いちゃう。

だけど、そんなことを言ってくれるのは一成だけだよ。


一成だけなの、私に勇気をくれるのは。


「俺が言うんだ、間違いない。だから自信持って歩け!」

「うん…!」


さぁ歩くんだ、ランウェイを。