「テーマはプレゼントだ」

腕を組んだ一成がフッと笑った。

「プレゼントのリボンをほどく時ってわくわくするだろ?そのわくわくを表現したのがスカートで、表現できる最大限の色を使ってる」

…そうゆうもの考えて作るんだ、服って。
作ったことはないし、買う時だってテーマを考えたことなんかないもんなぁ…

プレゼントがテーマのドレス、かぁ。

すてきなテーマ…
それは誰にあげたいとかって、考えるものなのかな…?

「これは俺からナノへのプレゼントだ」

「え…?」

「着てほしい」

私に…

私への…


一成と目を合わせる。

そしてもう一度ドレスの方を見た。


これを私が…着るの?


「じゃあそろそろ着替えて…あ、その前にヘアメイクだな。それはもう頼んであるから」

目が離せない、少しも逸らしたくない。

でも、それが無性に怖くなる。
思い出してしまって、蘇って来るから…


絶対に失敗できない。


「ナノ?」

手が足が体が、自分の体じゃないみたいに震え出す。

あ、これはやばい…
もう動けない、ここから動けない。

これを着てランウェイを歩く自信がない…っ

「ナノ!」