ふわっと、体が軽くなる感覚は2回目。なんなら数分前の出来事。

「ちょっとっ、なにっ」

「ちゃんと食べてんのか?体は資本だぞ」

「食べてる…ちょっとは!」

しかもさっきはお姫様抱っこだった。それもドキドキしたけど、今度は正面からお尻を支えられるように抱き上げられて身体の密着が多くてもっとドキドキする。

しかも背が高いからちょっと怖くて、一成にしがみつかないと落ちるんじゃないかと思って…

「ちゃんと食えよ、痩せ過ぎはよくねぇからな」

「食べるよ!今日からもっと食べる!」

「食べ過ぎも違うけどな」

「わかってるから!!」

一成を上から見ることなんてない、下から私を抱き上げる一成は…

「もう降ろしてよ!」

「嫌だ、降ろしたくない」

「嫌だって何!?」

ケラケラと笑って楽しそうだった。

本当に全然降ろしてくれないし!なんで、何なの!?

「このまま俺のものにしようかな」

「はぁ!?何言ってんの!?」

私を見つめる瞳は優しくて、瞳に映った自分に胸が騒がしくなる。

「俺のものにしたい」

このまま抱きしめられたら伝わってしまう。だから一刻も早く離れたいのに。

「…っ」

一成といるとドキドキする。

ドキドキがどんどん膨らんでいく。


だからそんなこと言わないでよ。

私、本気にしちゃうから。


一成のものになりたくなるから。


本当は、抱きしめてほしくて仕方ないから。