「モデルなんてやったことないし、やりたいとも思ったことなかったから…私にあんなすてきなドレスを着こなせる自信もないし」

あぐらをかいて座る田所一成の隣、ちょこんっと三角座りをして。きゅってちっちゃくなりたい気分だったから。

「なるべく目立たないでひっそり過ごせたらいいなぁってそんなふうにしか思ってなかったの」

人前に立つのは好きじゃない、だって緊張するし私みたいなのがいいのかなって思っちゃうもん。


だけど…


「もし、本当に…私がいいって言うならやってみたい」


“俺に選ばれたんだから自信を持て”

自分でも自分のことを信じたことなんかないのに、どうやって自信もったらいいのかなんてわかんなかったけど…

そう言ってくれるのは他にいない気がして。


“俺が世界一可愛くしてやるよ”


私もやってみたいと思った。

私を変えられるなら歩きたいと思った。


「私に田所一成が作った服のモデルをさせてほしい…です」


声が震える、これだけですごく勇気が入ってぎゅっと両手でペットボトルを握りしめた。

ドキ、ドキ、心臓が波打ってる。

2人しかいないしーんと静かなここはもしかして聞こえちゃうんじゃないかってぐらい。

「あのっ、私もっと練習するから!もっともっとがんばってしっかり歩けるように…!」