もうこの展開にも慣れちゃって何も思わなくなってしまった。いつものように連れられて、あぁーここはどこなんだろ~って頭の中で問いかけるだけなんだから。
メイド服で学校うろついてるのが恥ずかしいけど服飾科はこれが普通なのか特に気にされそうにもなくて、さぁ今日はどこに連れられるの?

「…っ!」

ガラッと開けたドアの向こう、息をすることを忘れてしまいそうになった。

トルソーに着せたドレスが視界に飛び込んで来たから。

赤に青に黄色にありったけの色を使ったドレスは私の頭では理解できない、それなのに生地の組み合わせが複雑で一体感をなしている。だんだん重ねになったフリルスカートが可愛くたたずんで…

「すごい…」

思わず息を飲んだ。漏れる声は静かで。

「これは仮のドレスだ」

「これで仮なの!?」

「ここからまだブラッシュアップさせるから」

えー…すご、もう完成品かと思うクオリティーしてるけど田所一成の瞳はまだまだ上を見ていた。

「着てみろ」

「え、私が!?」

「あたり前だろ、ナノは俺のモデルなんだから」

…どうしてそんなに真っ直ぐ言えるのかな、私にはそれがわからないんだけど。

そんな自信はどこから来るの?私にはそんな…