「…もしくはデザイナーのことを指すんだよ」

「え…、デザイナー?」

「間違ってはないけどな、裁断や縫製だって大事だ…でも実際は裁縫師やデザイナーを指す言葉だ」

「そう、なんだ…」

服飾関係の専門用語だと思って、私は触れることのない言葉だと思っていた。だからどうして田所一成がわざわざその意味を教えてくれたのかはこの時の私はまだわかっていなかった。

「それで、完成した服を着るのがモデルだ」

スッと田所一成の切れ長の目が真っ直ぐ私を見た。

ごくりと息を飲んじゃった。

田所一成の瞳は強くて凛々しくて。

「見付けたよ、俺の服を魅せてくれるモデルを」

本当は断ることだってできた。

体操服になんてならなくてもよかった。


でも結局、ここへ来たのは私の意志なんじゃないかな。


「俺が世界一可愛くしてやるよ」


だってドキドキが止まらないんだもの。

こんな感情初めてで、止められないの。


もし私にそんなことができるのなら、私の世界はどうなるんだろう。

もしここで私が頷いたら、私はどうなってしまうんだろう。