だけど、断れなくって渋々体操服に着替えた。

私がこんなことする筋合いなんてないけど、だってモデルはやらないって決めたんだし田所一成の服を着ることなんか…っ

「足は閉じて背筋は真っ直ぐ」

「……。」

「力抜いて」

ふぅっと息を吐いて背中を伸ばした。

ふと思ったけど採寸って初めてだ。服買うのにいちいちサイズなんて計らないし、てゆーかオーダーメイドで服買うことなんかないもん。

これは初めての感覚…

田所一成が私の後ろでシャーッとメジャーを伸ばしたり戻したりしてる。動いたら怒られると思うとピシッと立ったまま言葉さえ発せられない。
でも時折田所一成の手が触れて、触れられた場所が熱くなる。

なんだろこの感じ、すっごいドキドキする…

採寸だって初めてだけど、男の子とこんなに距離が近いことも初めてだから、こんなにドキドキするんだって息がっ

「動くな」

「…っ」

「計れなくなる」

首筋に田所一成の吐息がかかる。

熱い、そこからじわじわ熱が広がって巡っていくみたい。ドッドッって心臓の音が大きくなる。

わ、何コレ…っ 

2人しかいない教室がさらに息苦しくさせる。